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ENTERPRISE SECURITY GUIDE

企業セキュリティの全体像
— なぜ守るのか、何を守るのか、どう守るのか

本資料は、企業が取り組むべきセキュリティの内容と範囲を、はじめての方にもわかるように基礎から網羅的に解説するガイドです。特定のベンダー・クラウドに依存しない一般的な考え方を軸に、各領域の関連ソリューション(AWS/パートナーサービス)も参照できます。

unfold_more「もっと詳しく」はクリックで展開 apps各章末に関連ソリューション lightbulb緑の吹き出し=はじめての方への解説
help

なぜセキュリティを守らないといけないのか

§1 はじめに — セキュリティを「全体」として捉える

企業活動は、顧客情報・技術情報・お金・信用といった「資産」の上に成り立っています。セキュリティとは、これらの資産を狙う脅威から事業を守り続けるための活動です。事故が起きれば、金銭被害だけでなく、事業停止、顧客からの信頼喪失、法的責任にまで直結します。

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はじめての方へ: 「うちは狙われない」は成立しません
現代の攻撃の多くは、特定の企業を狙い撃つのではなく、ツールで無差別に「弱いところ」を探し回るopen_in_new方式です。会社の規模や知名度に関係なく、インターネットにつながっている時点で全員が対象です。また、自社が直接の標的でなくても、取引先へ侵入するための「踏み台」として狙われます。

1.1 なぜ「全体像」が必要か

セキュリティ対策は「ウイルス対策ソフトを入れる」「ファイアウォールを置く」といった個別対策の寄せ集めでは機能しません。攻撃者は最も弱い箇所を突いてくるため、一部だけ強固でも全体としては守れません。

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たとえるなら「家の防犯」
玄関に高級な鍵を3つ付けても、窓が開いていれば泥棒は窓から入ります。だから「家全体の見取り図」を持ち、玄関・窓・塀・在宅時の習慣・警報・保険までをセットで考える必要があります。この資料がその「見取り図」です。

1.2 セキュリティの基本3要素(CIA)

「何をもって守れているというのか」の世界共通の定義が、次の3要素です。すべてのセキュリティ対策は、この3つのどれか(または複数)を守るために存在します。

lock

機密性

Confidentiality

許可された者だけが情報にアクセスできること。
侵害例: 情報漏えい、不正アクセス

verified

完全性

Integrity

情報が改ざん・破壊されず正確であること。
侵害例: データ改ざん、Webサイト改ざん

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可用性

Availability

必要なときに情報・システムを利用できること。
侵害例: ランサムウェア、DoS攻撃、障害

近年はこれに加えて、真正性・責任追跡性・否認防止・信頼性(IEC/ISO 27000系の拡張要素)も考慮されます。

1.3 現代の脅威環境 — 何と戦っているのか

代表的な脅威を知ることは、対策の必要性を理解する近道です。以下は現在の企業が直面している主な脅威です。

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ランサムウェア

データを暗号化して身代金を要求。「暗号化+データ暴露」の二重恐喝が主流。

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サプライチェーン攻撃

取引先・委託先・利用ソフトウェア経由の侵入。自社が強くても周りから崩される。

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標的型攻撃(APT)

特定組織を狙い、長期間潜伏しながら情報を盗む攻撃。

phishing

フィッシング / BEC

偽メール・偽サイトによる認証情報の窃取、取引先や経営者を装うビジネスメール詐欺。

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内部不正

従業員・退職者による情報持ち出し。外部攻撃と同等以上に多い漏えい原因。

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設定ミス・シャドーIT

クラウドの公開設定ミス、会社が把握していないSaaS利用。悪意がなくても事故になる。

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生成AI関連の新リスクNEW

機密情報のAIサービスへの入力による漏えい、プロンプトインジェクション等。

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AIによる攻撃の高度化NEW

自然な日本語のフィッシング文面の量産、ディープフェイク音声・映像によるなりすまし。ビデオ会議で経営幹部を装い経理担当者に約40億円を送金させた香港の事案など、攻撃の質とスピードが従来の想定を超えつつある。

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押さえるべき前提: 「侵入される前提」で考える
これだけ多様な脅威に対して、100%の予防は不可能です。だから現代のセキュリティは「入れさせない」だけでなく、入られたら早く気づく(検知)、素早く止める(対応)、事業を戻す(復旧)までをワンセットで設計します。この考え方は資料全体を貫く軸です。
map

全体像マップ — 対策領域を俯瞰する

§3 対策領域の全体マップ(クリックで各章へジャンプ)

企業セキュリティの全領域を1枚にまとめたのがこのマップです。中央の横の流れは「人が データ にたどり着くまでのアクセス経路」を表しており、攻撃者もまったく同じ経路をたどります。だから各段が「検問所」になり、どこか1段が破られても次の段で止める——これが多層防御です。

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ガバナンス・リスク管理・コンプライアンス(GRC) §2

方針・体制・リスク評価・効果測定 — すべての対策の土台(事前に決める)

chevron_right
routeアクセスの流れ — 左から右へ守りを重ねる(各段がゼロトラストの検証ポイント)
tips_and_updatesどこか1段が破られても次の段で止める(多層防御)。右端の「データ」がすべての対策の最終目的。
apartment

物理セキュリティ §10

入退室管理・ゾーニング・災害対策 — 上記すべての「置き場所」を守る

chevron_right
monitoring

セキュリティ運用 §12

監視・検知(SOC/SIEM)→ 脆弱性管理 → インシデント対応(CSIRT)→ BCP/DR — 全段を横断して見張り、動く(常に回し続ける)

chevron_right
hub

サードパーティ/サプライチェーン管理 §13

委託先・グループ会社・OSS — 自社の外にも同じ統制を広げる

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マップの読み方
上の帯(ガバナンス)は「事前に決める」レイヤー、下の帯(運用)は「常に回し続ける」レイヤー、中央は「仕組みとして置く」レイヤーです。そして一番外側にサプライチェーン——自社の外にも同じ統制を求めます。以降の章は、このマップの各ブロックを順に解説します。
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生成AIの位置づけ — 独立領域ではなく「横断テーマ」
生成AIのセキュリティはマップ上の独立した1ブロックではなく、複数領域にまたがる横断テーマです。本資料では立場別に、導入企業・利用者として(§8.5)開発者として(§9.3)提供者として(§9.5)攻撃の高度化への備え(§1.3・§11.2)に分けて扱います。生成AI導入を検討する際の入口は §8.5 です(周辺領域との対応マップを同節末尾に掲載)。
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セキュリティガバナンス(組織・統制の土台)

§2 — すべての対策の土台

すべての対策の土台となる「組織としての意思決定と統制の仕組み」です。ツールを買う前に、「どこまで・どうやるか」「誰が責任を持つか」「何を優先するか」の3つを決めるのがガバナンスであり、この3つの問いにそれぞれ以下の節が答えます。

ガバナンスで決めること答える節
どこまで・どうやるか(ルールを定める)§2.1 方針・規程の体系
誰が責任を持つか(体制を作る)§2.2 推進体制
何を優先するか(リスクを見極める)§2.3 リスクマネジメント

そのうえで、決めたことが機能しているかを確認する仕組み(§2.4 準拠フレームワーク/§2.5 効果測定)を回します。

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なぜ「技術より先」なのか
セキュリティ投資は「全部やる」には高すぎます。守るべき資産と受け入れられるリスクを経営が決めないと、現場は優先順位を判断できず、対策がバラバラになります。だからセキュリティはIT部門の仕事ではなく経営課題なのです。

2.1 方針・規程の体系 —「どこまで・どうやるか」を定める

ルールは抽象度に応じて3層で作ります。上から順に「宣言 → 分野別ルール → 現場の手順」と具体化していきます。

階層内容
セキュリティポリシー(基本方針)経営層が承認する最上位文書。「わが社はセキュリティにこう取り組む」という宣言
対策基準(スタンダード)分野別のルール(アクセス管理基準、データ取扱基準など)
実施手順(プロシージャ)現場の具体的手順書(設定手順、申請手順など)

2.2 推進体制 —「誰が責任を持つか」を決める

役割責務
経営層セキュリティを経営リスクとして認識し、投資判断・最終責任を負う
CISO(最高情報セキュリティ責任者)セキュリティ戦略の立案・推進の責任者
セキュリティ委員会部門横断の意思決定機関
情報システム部門 / セキュリティ部門対策の実装・運用
各事業部門現場でのルール遵守、資産管理の一次責任
内部監査独立した立場での有効性検証

2.3 リスクマネジメント —「何を優先するか」を見極める

  1. 資産の洗い出し — 情報資産台帳の整備(データ、システム、機器)
  2. リスク評価 — 脅威 × 脆弱性 × 影響度 で評価
  3. リスク対応の選択 — 低減(対策実施)/回避/移転(保険・委託)/受容
  4. 残留リスクの承認 — 経営層による受容判断
  5. 定期的な見直し — 年次+環境変化時
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「リスクをゼロにする」は目標にならない
すべてのリスクを潰すことは不可能なので、「対策する/保険に移す/あえて受け入れる」を選ぶのがリスクマネジメントです。重要なのは、受け入れる判断を現場任せにせず経営層が承認することです。
gavel2.4 準拠フレームワーク・法令 —「拠り所」と「抜け漏れ確認」に使うexpand_more
種別
フレームワークNIST CSF 2.0、ISO/IEC 27001(ISMS)、CIS Controls
国内ガイドライン経産省 サイバーセキュリティ経営ガイドライン、IPA 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン
法令個人情報保護法、不正アクセス禁止法、電気通信事業法、(海外展開時)GDPR等
業界固有PCI DSS(カード決済)、FISC(金融)、3省2ガイドライン(医療)
AI固有NIST AI RMF、ISO/IEC 42001(AIマネジメントシステム)、経産省・総務省 AI事業者ガイドライン、(海外展開時)EU AI Act。生成AI導入時のガバナンスへの組み込みは §8.5 (4) を参照

ポイント: NIST CSF の6機能「統治(Govern)→ 識別(Identify)→ 防御(Protect)→ 検知(Detect)→ 対応(Respond)→ 復旧(Recover)」は、対策の抜け漏れ確認に最も使いやすい整理軸です。

query_stats2.5 効果測定(KPI / KRI)—「決めたことが機能しているか」を確認するexpand_more

対策の有効性は測定しなければ改善できず、経営層への報告も「やっています」以上の説明ができません。リスクマネジメントサイクルを回す際は、測定可能な指標を定めて定点観測します。

指標の例見るもの
パッチ適用率・適用リードタイム脆弱性管理(§12.2)のSLA遵守状況
MFA・EDR等の展開率基本対策のカバレッジ(「導入した」ではなく「全体の何%か」)
標的型メール訓練の開封率・報告率教育の効果。開封率の低下より報告率の向上を重視する
MTTD / MTTR(検知・対応までの平均時間)運用(§12)の実効性
棚卸しでの過剰権限・休眠アカウント検出数IAM統制(§4)の健全性
  • 指標は「対策の稼働状況(KPI)」と「リスクの予兆(KRI: 例=未対応の重大脆弱性の滞留数)」の両面で持つ
  • NIST CSF等による成熟度評価を定期実施し、経年変化と投資判断の根拠にする
handyman
中堅・中小企業の現実解
CISO専任・セキュリティ委員会・内部監査のフルセットは前提にしない。(1) 経営層直轄の「情報セキュリティ責任者」を兼任で1名任命する(責任の所在を作ることが本質)、(2) ポリシーはゼロから書かずIPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」の雛形から出発する、(3) 専門知識は外部顧問・vCISOサービスを月数時間から活用する。IPAのSECURITY ACTION(自己宣言制度)は、最初の到達目標かつ対外的なアピールとしても機能する。
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • AWS Audit Manager(監査証跡の自動収集)
  • AWS Artifact(コンプライアンスレポート取得)
  • AWS Config 適合パック
handshakeパートナーサービスの例
  • ServiceNow GRC
  • Archer
  • OneTrust
  • KnowBe4 / Proofpoint(セキュリティ教育・メール訓練)
group

人的セキュリティ(教育・訓練)

§11 — 事故の多くは「人」から始まる

セキュリティ事故の多くは「人」を起点に発生します。フィッシングに騙される、誤送信する、ルールを知らずに持ち出す——技術対策と同等以上に重要な領域です。

11.1 主な取り組み

取り組み内容
セキュリティ教育全社員向けの定期研修(年1回以上)+入社時教育。役割別(開発者・管理者・経営層)の専門教育。AI利用リテラシー(ハルシネーション前提の使い方、入力してよい情報の判断 — §8.5と連動)を近年の必須テーマとして組み込む
標的型メール訓練疑似フィッシングメールによる実践訓練と、開封時のフォロー教育
ルールの周知情報の取り扱い、SNS利用、パスワード管理などの行動規範
報告文化の醸成「開いてしまった」「失くした」をすぐ報告できる、責めない文化(報告遅延が被害を最も拡大させる)
雇用プロセスとの連動入社時の誓約書、退職時の権限剥奪・秘密保持の再確認
内部不正対策職務分掌、重要操作のログと監視、離職予定者のアクティビティ確認
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最重要は「責めない報告文化」
「フィッシングを開いてしまった」と1時間以内に報告があれば被害はほぼ防げます。報告した人を責める組織では隠蔽が起き、発覚が数週間遅れて被害が桁違いに拡大します。訓練の目的は「開封率を下げる」ことより「報告率を上げる」ことです(§2.5のKPIとも連動)。
theater_comedy11.2 AI時代のソーシャルエンジニアリング対策 — 教育の前提が崩れたexpand_more

生成AIによる攻撃の高度化(§1.3)は、従来の教育の前提を崩しつつあります。

  • 「不自然な日本語を見抜く」型の教育は無効化されつつある — AIが生成するフィッシング文面は自然で、文面の違和感に頼る判別はもはや成立しない
  • 声・映像も本人確認の根拠にならない — ディープフェイクにより、電話の声やビデオ会議の顔が本人である保証はない

したがって防御の重心を「人の注意力」から業務プロセス側の防御に移す必要があります:

  • 送金・支払先変更・権限変更などの重要依頼は、依頼が来た経路とは別の経路で本人確認する(コールバック検証。依頼メール記載の連絡先ではなく、既知の連絡先へかけ直す)
  • 金額・重要度に応じた複数人承認の徹底(緊急を装った承認スキップ要求こそ危険信号)
  • 「上司からの急ぎの依頼を疑うことを許容する」文化(§11.1の報告文化と同根)
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • ※教育・訓練はAWSの守備範囲外(AWS Skill Builder等の学習コンテンツはあり)
handshakeパートナーサービスの例
  • KnowBe4(教育・フィッシング訓練)
  • Proofpoint(メールセキュリティ・訓練)
devices

デバイス/エンドポイントセキュリティ

§6 — PC・スマホ・サーバーの保護

PC・スマートフォン・サーバーなど、利用者が直接触れる機器の保護。フィッシングメールの添付ファイルを開く、不正サイトを踏む——攻撃の起点になりやすい領域です。

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出発点は「管理できていない機器は守れない」
どんな高機能な対策ソフトも、入っていない端末は守れません。だから第一歩はツールではなく「全デバイスの台帳(インベントリ)」です。把握→標準設定→保護ソフト→パッチ、の順で積み上げます。

6.1 主な対策

対策内容
資産管理(インベントリ)全デバイスの把握。管理できていない機器は守れない
EPP(アンチウイルス)マルウェアの侵入防止(パターン+振る舞い検知)
EDR侵入後の不審な挙動を検知・調査・隔離。「侵入される前提」の対策として必須化
パッチ管理OS・ソフトウェアの脆弱性修正を迅速に適用
ディスク暗号化紛失・盗難時の情報漏えい防止(BitLocker / FileVault 等)
MDM / MAMモバイル端末の一元管理、リモートワイプ、業務アプリ領域の分離
ハードニング(要塞化)不要サービス停止、セキュアな標準設定(CISベンチマーク等)
USB・外部媒体制御利用制限またはログ取得。機能的にはエンドポイントDLPの一部であり、データ統制(§8.3のDLP)と統合的に運用されることが多い
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EPPとEDRの違い — 「門番」と「監視カメラ」
EPP(アンチウイルス)は入口でマルウェアを止める門番。EDRは、門番をすり抜けて侵入された後の不審な動きを検知して隔離する監視カメラ+警備員です。「侵入される前提」の現代では、EDRが事実上の必須装備になっています。
compare_arrowsEPP・EDR・DLP の違いと関係 — 端末エージェントは1つに統合されつつあるexpand_more

端末を守る仕組みには EPP・EDR に加え、データの持ち出しを見張る DLP があります。3者は目的が異なりますが、いずれもPC上のエージェントで動くため、実装は重なります。

EPPEDRDLP
正式名Endpoint Protection PlatformEndpoint Detection and ResponseData Loss Prevention
守る対象端末(マルウェア侵入)端末(侵入後の不審な挙動)データ(機密情報の外部流出)
役割のたとえ門番(入れさせない)監視カメラ+警備員(入られた後を捕まえる)手荷物検査(持ち出しを止める)
攻撃の向き外 → 内外 → 内内 → 外
本資料の章§6§6§8.3
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DLPとは?(ここで初出)
DLP(情報漏えい防止)は、通信や操作の「データの中身」を検査し、機密情報(マイナンバー・カード番号・「社外秘」ラベル等)の持ち出しを検知・ブロックする仕組みです。EPP/EDRが「泥棒の侵入」を見張るのに対し、DLPは「情報の持ち出し」を見張る——目的が直交しています。検査ポイントによりネットワーク型/エンドポイント型/クラウド型の3種があり、詳しくは§8.3で扱います。

merge実装は「1つのエージェント」に統合されつつある

概念は別でも、エンドポイント型DLPはEDRと同じくPC常駐エージェントで動くため、監視ポイント(USB・印刷・クリップボード・アップロード)が共通です。そのため主要ベンダーは統合を進めています。

  • CrowdStrike: EDRと同一エージェントに Falcon Data Protection(DLP)を追加
  • Microsoft: Defender for Endpoint(EDR)と Purview(DLP)が同じ端末エージェント・データ基盤で連携
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別ベンダーで分けるのはアンチパターン
EPP・EDR・エンドポイントDLPを異なるベンダーで別々に入れると、エージェントが二重・三重に常駐して端末が重くなり、互いを不審プロセスと誤検知して競合します。現代の標準形は「EDR+エンドポイントDLP+EPPを1つの統合製品に寄せる」こと。統合すると「普段と違う挙動の端末が機密データを外部送信しようとしている」という複合判断ができ、精度も上がります。
(※ネットワーク型・クラウド型DLPは経路が違うため、SWG/CASB側=§5・§7に寄ります)
checklist6.2 考慮すべき論点(BYOD・リモートワーク・IoT/OT・廃棄)expand_more
  • BYOD(私物端末の業務利用): 許可する場合はMDM/MAMによる統制とルール整備が前提
  • リモートワーク環境: 自宅ネットワーク・公共Wi-Fi利用時の保護(常時VPN/ZTNA、画面覗き見対策)
  • IoT・OT機器: 複合機、監視カメラ、工場設備等。パッチ適用が難しいためネットワーク分離が基本
  • 退職・廃棄時: データの完全消去、資産返却の徹底
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中堅・中小企業の現実解
EDRは「導入」より「アラートを見る人がいない」ことが課題になる。専任者がいない場合は、EDR製品単体ではなく監視・対処込みのMDR(Managed Detection & Response)サービスとして調達するのが実質的な最適解(§12.1のSOC外部委託と同じ構図)。また、Windows端末中心なら Microsoft 365 Business Premium に含まれる Defender for Business + Intune で「EPP/EDR+MDM+ディスク暗号化管理」を追加製品なしで賄える構成が費用対効果の基準線になる。資産管理は高機能ツールの前に「台帳(スプレッドシートでも可)を1つに統一し、購入・退職のたびに必ず更新する」運用の確立が先。
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • AWS Systems Manager(パッチ管理・インベントリ)
  • Amazon GuardDuty Runtime Monitoring(EC2/コンテナ)
  • Amazon WorkSpaces(VDI)
handshakeパートナーサービスの例
  • CrowdStrike(EDR。Falcon Data ProtectionでDLPも同一エージェントで提供)
  • SentinelOne
  • Microsoft Defender for Endpoint
  • Trend Micro
  • Jamf / Microsoft Intune(MDM)
  • Tanium
💡 ユーザー端末のEPP/EDR/MDMはAWSの守備範囲外でパートナー領域。AWS列はサーバー側(EC2/コンテナ)の保護が中心。
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ID・アクセス管理(IAM)

§4 — 「誰が・何に・どこまで」の統制

「誰が・何に・どこまでアクセスできるか」の統制。現代のセキュリティの最重要領域であり、侵害の多くは認証情報(ID・パスワード)の悪用から始まります。

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なぜIDが「最重要」なのか
攻撃者にとって、システムの脆弱性を苦労して突くより、正規のID・パスワードを盗んで「正面から堂々とログインする」方が簡単で確実だからです。盗まれたIDでのアクセスは正規利用と見分けがつきにくく、防御側にとって最も厄介です。

4.1 基本原則

4.2 主な対策

対策内容
ID ライフサイクル管理入社・異動・退職に連動したアカウントの発行・変更・確実な削除
多要素認証(MFA)パスワード+所持・生体等。特に管理者・外部公開システムは必須
シングルサインオン(SSO)ID基盤の一元化により統制と利便性を両立
特権ID管理(PAM)管理者権限の申請ベース利用、操作ログ記録、パスワード自動変更
定期的な棚卸し不要アカウント・過剰権限の定期レビュー(年2回以上推奨)
パスワードレス化パスキー(FIDO2)等によるフィッシング耐性の向上
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最も多い事故: 「退職者のアカウントが残っていた」
退職・異動時のアカウント削除漏れは、内部不正・外部侵入の両方の入口になる定番の穴です。人事イベントとアカウント処理を自動連動させることが理想形です。
smart_toy4.3 非人間ID(マシンID)の管理 — 人間の数倍存在する見えないIDexpand_more

上記は主に「人間のID」の統制ですが、実際の環境にはサービスアカウント、APIキー、システム連携用アカウントといった非人間IDが人間IDの数倍〜数十倍存在し、AIエージェントの普及(§9.3)でさらに増加しています。侵害事例では、棚卸しから漏れたサービスアカウントや長期間ローテーションされないAPIキーが突かれるケースが多い領域です。

人間IDと異なり「入社・退職」というライフサイクルの起点がないため、別の管理が必要です。

  • インベントリとオーナー割当: すべての非人間IDに管理責任者(人間)を紐付ける。作った担当者の退職とともに「所有者不明」になるのが典型的な放置パターン
  • クレデンシャルの短命化: 長期固定のAPIキーではなく、OIDC連携等による短命トークンへの移行。固定キーが避けられない場合は定期ローテーション
  • 権限の最小化と利用監視: 用途単位でIDを分離し、通常と異なる使われ方を検知する
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中堅・中小企業の現実解
専用のIdP製品(Okta等)やIGA/PAM製品の導入は必須ではない。多くの企業が既に契約している Microsoft 365(Entra ID)や Google Workspace が実質的なIdP であり、(1) そこに含まれるMFA・条件付きアクセスをまず有効化する(追加費用ゼロで最大の効果)、(2) 主要SaaSのログインをこのID基盤へのSSOに寄せる、(3) 棚卸しは管理画面の標準レポート(最終ログイン日等)を四半期に一度確認する運用から始める、で「MFA・SSO・棚卸し」の骨格は成立する。特権ID管理も、専用PAMの前に「管理者アカウントの分離(通常業務と兼用しない)+パスワードマネージャーでの共有管理」が現実的な第一歩。
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • AWS IAM
  • IAM Identity Center(SSO/MFA)
  • Amazon Cognito(顧客向けID)
  • AWS Directory Service
  • Amazon Verified Permissions
handshakeパートナーサービスの例
  • Okta
  • Microsoft Entra ID
  • CyberArk(PAM)
  • SailPoint(IGA)
  • HENNGE One
lan

ネットワークセキュリティ

§5 — 通信経路の防御と「ゼロトラスト」への移行

5.1 境界型防御からゼロトラストへ

従来は「社内=安全、社外=危険」という境界型防御が主流でしたが、クラウド利用・リモートワークの普及により境界が曖昧になりました。現在は「何も信頼せず、すべてのアクセスを検証するゼロトラストの考え方への移行が進んでいます。

観点境界型防御(従来)ゼロトラスト(現在)
信頼の前提社内ネットワークは信頼場所を問わず信頼しない
認証入口で一度アクセスごとに毎回検証
主な手段FW、VPNID中心の認証、デバイス健全性チェック、マイクロセグメンテーション
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たとえるなら「城壁の街」から「全戸オートロックのマンション」へ
昔は街の外周に城壁を築けば中は安全でした(境界型)。しかし今は住民が街の外(自宅・カフェ・クラウド)で仕事をするため、城壁が意味を持ちません。そこで建物や部屋ごとに毎回鍵と身分証を確認する方式(ゼロトラスト)に変わったのです。だからこそ前章のID管理(§4)が主役になります。

5.2 主な対策

mark_email_read5.3 なりすまされない対策(送信ドメイン認証・ブランド保護)expand_more

メールゲートウェイは「受信」の防御ですが、自社ドメインが詐称される側の対策も必要です。BEC(§1.3)は自社が踏み台・名義として使われる攻撃であり、顧客・取引先への被害は自社の信用問題になります。

  • SPF / DKIM / DMARC: 送信ドメイン認証の整備。Google・Yahoo等の送信者要件により事実上の必須要件となっており、未対応だと自社の正規メールが届かなくなる段階に来ている。DMARCはまず監視モード(p=none)でレポートを収集し、段階的に隔離・拒否(p=quarantine / reject)へ移行する
  • 類似ドメインの監視: 自社を装ったフィッシング用ドメイン(タイポスクワッティング)の検知、フィッシングサイトのテイクダウン依頼
  • ドメイン・証明書の運用管理: TLS証明書の期限管理(自動更新化)、ドメインの更新漏れ防止(失効したドメインを第三者に取得されるドロップキャッチは、メール・サービスの乗っ取りに直結する)
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中堅・中小企業の現実解
FW・IPS・Webフィルタを個別製品で揃えず、UTM(統合脅威管理)アプライアンス1台+保守サービスに集約するのが定石。拠点間・リモートアクセスも「UTM付属のVPN+将来的にSASE/SSE(Zscaler等のクラウド型)へ」の順で段階移行する。メールは自社でゲートウェイを持たず、Microsoft 365 / Google Workspace 標準の保護機能(Defender for Office 365等)を正しく設定する方が運用込みで堅い。SPF/DKIM/DMARCはツール購入不要のDNS設定であり、企業規模を問わず着手できる(DMARCレポートの分析だけ無料〜安価なSaaSを使う)。
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • AWS Network Firewall
  • AWS WAF
  • AWS Shield(DDoS)
  • AWS Verified Access(ZTNA)
  • AWS Client VPN
  • Route 53 Resolver DNS Firewall
  • AWS Firewall Manager
handshakeパートナーサービスの例
  • Palo Alto Networks
  • Fortinet
  • Zscaler
  • Netskope(SWG/SSE)
  • Cloudflare
  • ExtraHop / Darktrace(NDR
cloud

クラウドセキュリティ

§7 — 「クラウドだから安全」ではない

SaaS / PaaS / IaaS の利用が前提となった現在、オンプレミス(自社設備)とは異なる考え方が必要です。その中心が「責任共有モデル」という考え方です。

7.1 責任共有モデル — どこまでが自分の責任か

クラウドのセキュリティは、クラウド事業者と利用企業で責任を分担します。事業者が守るのは「クラウドの基盤そのもの」であり、その上に置くデータと設定は利用者の責任です。

レイヤーIaaSPaaSSaaS
データ・アクセス管理利用者利用者利用者
アプリケーション利用者利用者事業者
OS・ミドルウェア利用者事業者事業者
物理・基盤事業者事業者事業者
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重要: クラウド事故の大半は「利用者の設定ミス」
「クラウドだから安全」ではなく、データとアクセス管理の責任は常に利用者側にあります。クラウドの重大事故の大半は、事業者側の問題ではなく利用者の設定ミス(ストレージの公開設定、過剰な権限など)によるものです。だから「設定を継続的にチェックする仕組み(CSPM)」が重要になります。

7.2 主な対策

対策内容
設定ミスの防止・検知(CSPM)公開設定・権限設定を継続的にスキャンし是正
クラウドIAMの統制最小権限、MFA必須、ルート/特権アカウントの厳格管理
データ暗号化保存時・通信時の暗号化、鍵管理
ログの集約と監視操作ログ(監査証跡)の取得・保全・分析
SaaS利用の統制(CASB / SSPM)認可済みSaaSの管理、シャドーIT(未許可SaaS)の可視化
ワークロード保護(CWPP)仮想マシン・コンテナ・サーバーレスの保護
IaC・自動化構成をコード化し、レビュー・自動チェックを通して展開
policy7.3 クラウド利用のガバナンス(もっと詳しく)expand_more
  • クラウドサービス採用時のセキュリティ評価基準(データ所在地、認証取得状況、契約条件)を定める
  • 部門が勝手に契約するシャドーITを防ぐ申請・承認プロセス
  • マルチクラウド利用時の統制の一貫性
  • 生成AIサービスの採用時は、上記に加えてAI固有の評価項目(学習利用の有無、出力の権利帰属等)を確認する — チェックリストは §8.5 (3) を参照
handyman
中堅・中小企業の現実解
有償のCNAPP/CASB製品の前に、クラウド標準のセキュリティ機能の有効化が先。AWSならSecurity Hub・GuardDuty・CloudTrailを全アカウントで有効化するだけで基本的な設定ミス検知・脅威検知・証跡が揃う(従量課金でスモールスタート可能)。SaaS中心の企業なら、M365/Google Workspaceのセキュアスコア(推奨設定の採点機能)を毎月確認して埋めていく運用が、実質的なCSPMとして機能する。シャドーITの完全な可視化より、「業務データを置いてよい場所を公式に2〜3個決めて周知する」方が統制効果が出やすい。
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • AWS Security Hub(CSPM/検出統合)
  • Amazon GuardDuty(脅威検知)
  • Amazon Inspector(脆弱性)
  • AWS Config(構成監査)
  • AWS Control Tower / Organizations(マルチアカウント統制)
handshakeパートナーサービスの例
  • Wiz
  • Orca Security
  • Palo Alto Prisma Cloud(CNAPP)
  • Netskope / Microsoft Defender for Cloud Apps(CASB/SSPM)
code

アプリケーション・開発セキュリティ

§9 — 作る側のセキュリティ(AI開発・AI提供を含む)

自社でシステム・サービスを開発する場合の領域です。近年はAIの登場で、「AIにコードを書かせる時の統制(§9.3)」「AIを組み込んだシステムの統制(§9.5)」まで範囲が広がっています。

9.1 セキュア開発ライフサイクル(DevSecOps)

「後からテストで見つける」のではなく、開発の全工程にセキュリティを組み込む(シフトレフト)考え方が主流です。後工程で見つかるほど修正コストは跳ね上がるため、できるだけ「左(上流)」で見つけます。

工程対策
要件・設計セキュリティ要件定義、脅威モデリング
実装セキュアコーディング規約、コードレビュー、SAST(静的解析)
依存関係SCA(OSSの脆弱性チェック)、SBOM(ソフトウェア部品表)の管理
テストDAST(動的解析)、ペネトレーションテスト
リリース・運用WAF、脆弱性診断(定期)、バグバウンティ

9.2 押さえるべき代表的リスク

terminal9.3 開発環境・開発者ツールのセキュリティ(Git / CI/CD / AIコーディング)expand_more

アプリケーション本体だけでなく、コードを作る環境そのもの(リポジトリ、CI/CD、開発者の手元ツール)が攻撃対象になります。ビルド環境の侵害は成果物すべてを汚染するため(SolarWinds型の事案)、影響が特に大きい領域です。

folder_managedソースコード管理(Git / リポジトリ)

対策内容
リポジトリのアクセス制御最小権限、MFA必須、退職・異動時のアカウント棚卸し(§4と連動)
ブランチ保護・レビュー必須化保護ブランチへの直接push禁止、マージ前のレビュー承認、コミット署名
シークレットスキャンコミット前(pre-commitフック)+push時のブロック(push protection)。一度履歴に入ったシークレットは削除しても残るため、混入時は即時ローテーションが原則
誤公開の防止公開/非公開設定の統制、個人アカウントと業務アカウントの分離

conveyor_beltCI/CDパイプライン

  • ビルド環境・ランナーの保護(使い捨て化、パッチ適用)
  • パイプラインに与える認証情報の最小権限化(本番デプロイ権限の分離、OIDC等による短命クレデンシャル)
  • 依存取得元の統制(社内プロキシ・許可リポジトリ経由)、成果物の署名・検証

smart_toyAIコーディングエージェント利用時の統制(近年の重要論点)

開発者がAIにコードを書かせることが標準になりつつあり、§8.5(利用者としての生成AI統制)の開発者版として固有のリスクを扱う必要があります。

リスク対策の方向性
コードベース自体が機密情報として外部LLMへ送信される学習に利用されない法人契約の利用、送信対象からの機密ファイル除外設定、利用可能なコードベースの分類(§8.1と連動)
生成コードの脆弱性・品質問題人間によるレビューを必須とする(生成コードもレビュー・SAST・SCAの対象。9.1の統制をバイパスさせない)
エージェントへの過剰な権限付与エージェントに渡すAPIトークン・シェル実行権・本番環境への到達性を最小化。サンドボックス実行
プロンプトインジェクションリポジトリ内のファイル(README、コメント、Issue等)や参照する外部コンテンツ経由でエージェントに意図しない操作をさせる攻撃。自動実行権限の制限、危険操作の承認フロー
パッケージハルシネーション(slopsquatting)AIが実在しないパッケージ名を提案し、それを先回りして登録した悪意あるパッケージを取り込んでしまう。依存追加時の実在・信頼性確認、SCAによる検査(§13のサプライチェーン管理の新形態)
拡張機能・MCPサーバー等の連携ツールIDE拡張やエージェント連携ツール自体のサプライチェーンリスク。許可制での導入統制
監査可能性エージェントの操作ログ・利用状況の記録(誰が・どのコードベースで・何をさせたか)
lightbulb
ポイント: AIは「非常に生産性の高い新人開発者」として扱う
人間の開発者に課している統制(最小権限、レビュー、監査ログ)をそのまま適用することが出発点であり、AIだからといって統制を免除しないことが原則です。
bug_report9.4 脆弱性診断・ペネトレーションテストの実施体制(内製か外部委託か)expand_more

脆弱性への取り組みは性質の異なる2つの活動に分かれ、それぞれ適した実施体制が異なります。

継続的な脆弱性管理(§12.2)スポットの脆弱性診断・ペネトレーションテスト
頻度常時・継続リリース前、年次など
手段ツール中心(SAST/DAST/SCA、クラウドスキャン、パッチ管理)専門家の手動診断(認可バイパス、ビジネスロジック欠陥等)
適した体制内製(開発・運用パイプラインへの組み込みが本筋。外注に不向き)外部委託が主流

外部委託が主流となる理由は、能力面だけでなく構造的なものです。

  1. 第三者性が要件そのもの — 金融(FISC)、PCI DSS、官公庁案件、顧客へのセキュリティチェックシート回答等では「独立した第三者による診断」が求められる。自己診断は対外的な証明力を持たない
  2. 稼働率の問題 — 手動診断の専門人材を常勤で抱えても、診断ニーズはスポットであり年間を通じて稼働が埋まらない。専門会社は多数の顧客で案件を回すことで成立している
  3. 人材の希少性と陳腐化の速さ — 攻撃側の専門性は防御側スキルとは別物で市場に少なく、診断の実務から離れるとスキルが急速に陳腐化する
  4. 成果物と品質保証 — 対外提出可能な報告書、標準化された診断方法論、責任分界までを含めて調達している

実務上の分業の目安:

  • 内製: ツールによる継続的スキャンとパッチ適用(§12.2)。CI/CDへの組み込みで開発速度と両立させる
  • 外部委託: 年次・リリース前の手動診断、第三者証明が必要な診断
  • 中間形態: バグバウンティ(継続的な外部の眼)、大企業でのレッドチーム内製
  • 今後の変化: AWS Security Agent(付録参照)のようなAIエージェント型のオンデマンド診断は、上記2(稼働率)・3(人材希少性)の制約を崩す位置づけであり、手動診断の一部が「AIによる内製実行」に移行していく可能性がある。ただし第三者証明が必要な領域(上記1)は引き続き外部委託が残る
handyman
中堅・中小企業の現実解
開発チームが小さい場合、SAST/DAST/SCA製品を個別調達せず、リポジトリ基盤に同梱の機能から始めるのが最短。GitHub なら Dependabot(SCA・無料)+ secret scanning + CodeQL、GitLab なら同等の内蔵機能で、§9.1の表の大半を追加契約なしにカバーできる。AIコーディング統制も、まず「法人契約の利用」「生成コードは必ず人間がレビュー」の2点をルール化するだけで主要リスクの多くを抑えられる。手動ペネトレーションテストは毎年全システムではなく、外部公開かつ重要データを扱うシステムに絞って隔年〜リリース時に実施する優先順位付けが現実的。
robot_29.5 AIを組み込んだシステムのセキュリティ(提供者としての統制)expand_more

生成AIに関する統制は、立場によって3つの視点に分かれます。

視点立場本資料の該当箇所
導入企業・利用者として生成AIサービスを導入し、業務で使う§8.5(導入前チェックを含む)
開発者としてAIにコードを書かせる§9.3
提供者として自社システムにAIを組み込んで顧客・社内に提供する本節

LLMを組み込んだアプリケーションには、従来のWebアプリ(OWASP Top 10、§9.2)とは異なる固有の攻撃面があり、OWASP Top 10 for LLM Applications として整理されています。代表的な論点は以下です。

リスク内容と対策の方向性
プロンプトインジェクション利用者の入力でシステムプロンプトの指示を上書きされる(直接型)。入力検証だけでは防ぎきれない前提で、権限側で被害を限定する
間接プロンプトインジェクションRAGが読み込む文書、Webページ、メール等のデータの中に攻撃指示を仕込まれる。AIが参照する外部コンテンツはすべて信頼できない入力として扱う
RAGのアクセス制御文書を検索基盤(ベクトルDB等)に投入した瞬間、元データの権限境界が消える問題。部門限定の文書が全社チャットボット経由で誰でも引き出せる、が典型的な事故。検索時に利用者の権限でフィルタする設計(§8.1の情報分類との連動)が必須
機密情報の漏出学習データ・システムプロンプト・接続先データが応答経由で漏れる。出力フィルタリング、システムプロンプトに秘密を置かない設計
出力の検証(ガードレール)有害・不正確な出力の抑制、出力を後続処理に渡す場合のサニタイズ(LLM出力をそのままSQL・コード実行に渡さない)
過剰なエージェンシー(自律性)AIエージェントに与えるツール・権限が過剰だと、誤動作や注入攻撃の被害が実行動に直結する。ツール権限の最小化、重要操作の人間による承認(§9.3と同じ原則)
モデル・プロンプトのサプライチェーン外部モデル・公開プロンプトテンプレート・外部プラグインの信頼性評価。システムプロンプトもコードと同様にバージョン管理・レビュー対象とする
悪用・リソース枯渇意図しない用途への悪用(不正コンテンツ生成の踏み台化)、大量リクエストによるコスト膨張。レート制限、利用目的の制限、コスト監視
report
設計の原則: 「注入されても被害が出ない権限設計」
LLMの出力は本質的に確率的であり、「絶対に注入を防ぐ入力フィルタ」は存在しません。したがって設計の重心はAIが到達できるデータ・実行できる操作の最小化に置くのが原則です。これは§4の最小権限の原則のAI版といえます。
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • AWS Security Agent — 脅威モデリング(STRIDE)・設計/コードレビュー・オンデマンドペネトレーションテストを開発ライフサイクル全体で自動化するAIエージェント型サービス(2025年発表)。IDE・CI/CD組み込み可
  • Amazon Inspector(SCA/コンテナスキャン)
  • AWS Secrets Manager
  • AWS WAF
  • Amazon Q Developer
handshakeパートナーサービスの例
  • Snyk
  • Checkmarx
  • Veracode
  • GitHub Advanced Security
  • HackerOne(バグバウンティ)
💡 AWS Security Agent は §9.1 の DevSecOps(シフトレフト)を実現する中核サービス。§9.4の「AIによるオンデマンド診断」の代表例でもある。
database

データ・情報統制

§8 — すべての対策が最終的に守る対象

「守るべき対象」であるデータそのものの管理。これまでの章の対策(人・デバイス・ID・ネットワーク・クラウド)はすべて、最終的にデータを守るためにあります。技術対策とルールの両輪で行います。

8.1 情報の分類(データクラシフィケーション)— すべての前提

すべての対策の前提として、情報を重要度で分類します。「何が機密か」が決まっていなければ、持ち出しをブロックする基準も、アクセスを制限する基準も作れません。

分類例内容の例取り扱い
極秘M&A情報、未公開の財務情報指定者のみ、暗号化必須、持ち出し禁止
秘密個人情報、顧客データ、技術情報部門内限定、アクセス制御・ログ必須
社外秘社内規程、一般業務文書社員のみ
公開プレスリリース、公開資料制限なし

8.2 データライフサイクル管理

作成 → 保存 → 利用 → 共有 → 保管 → 廃棄 の各段階で統制を定義します。

8.3 主な技術対策

対策内容
DLP(情報漏えい防止)通信・操作の「データの中身」を検査し、機密データの持ち出しを検知・ブロック。検査ポイントによりネットワーク型(メール・Web通信)、エンドポイント型(PC上のエージェントでUSBコピー・印刷・貼り付け等を制御。§6のUSB制御を包含)、クラウド型(SaaS・ストレージ内の共有設定・データ検査)の3種類。§8.1の情報分類・ラベリングが判定精度の前提となる
IRM / ラベリングファイル自体に暗号化と権限を埋め込む(社外に出ても保護が持続)
暗号化と鍵管理保存時・通信時の暗号化、鍵の適切な管理・ローテーション
バックアップ3-2-1ルール(3コピー・2種類の媒体・1つはオフサイト)+イミュータブル(変更不可)バックアップ(ランサムウェア対策)
アクセスログ・監査重要データへのアクセス記録と定期レビュー
lightbulb
DLPとは? — 「中身を見る」検問所
ファイアウォールが通信の「宛先」で判断するのに対し、DLPは流れるデータの中身そのもの(マイナンバーらしき数字、「社外秘」ラベル等)を検査してブロックします。ただし「何が機密か」の定義(§8.1の分類)ができていないと精度が出ません。分類→ラベル→DLPで強制、という順番が鉄則です。
privacy_tip8.4 個人情報・プライバシー(もっと詳しく)expand_more
  • 個人情報保護法への対応(利用目的の特定、安全管理措置、漏えい時の報告義務)
  • 保有個人データの棚卸しとマッピング
  • 越境データ移転の管理(海外クラウド・海外拠点への移転)
  • プライバシーポリシーの整備と本人対応(開示・削除請求)
smart_toy8.5 生成AIの導入・利用時のセキュリティ — 導入前に見るべきポイントexpand_more

「生成AIを導入したいが、先にセキュリティを整備したい」という要請に答えるための節です。導入前 → 導入時 → 運用 の時系列で整理します。

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生成AI統制は「立場」によって3つに分かれる
本節は「導入する企業・業務利用者として」の統制です。開発者がAIにコードを書かせる場面は §9.3、自社システムにAIを組み込んで顧客に提供する場面は §9.5 で扱います。

looks_one導入前①: 導入形態のスコーピング — まず「どのスコープか」を特定する

「生成AIの導入」はひとくくりにできず、形態によってリスクと自社の責任範囲が全く異なります。最初にやるべきは、検討中のユースケースが以下のどれに当たるかの特定です(クラウドの責任共有モデル §7.1 のAI版にあたる考え方)。

スコープ形態自社の責任範囲
1一般消費者向けサービスの利用ChatGPT無料版等を従業員が使う利用ルール・教育のみ(データは事業者の規約次第。業務利用は原則、法人契約への誘導が先
2法人向けSaaSの契約ChatGPT Enterprise、M365 Copilot、Claude for Workサービス評価と設定・アクセス権の統制
3API経由で既存モデルを利用しアプリを構築Bedrock、Azure OpenAI等+アプリ側の設計・ガードレール(§9.5)
4既存モデルの追加学習(ファインチューニング/RAG)自社データでのカスタマイズ+学習・参照データの統制(§8.1〜8.3)
5モデルの自作自社開発モデル+学習パイプライン・モデル自体の保護

下に行くほど自由度が上がる代わりに責任範囲が広がります。スコープが決まれば、見るべきセキュリティ項目は自動的に絞れます。具体的には以下の通りで、下位スコープの項目は上位スコープにも累積して適用されます。

スコープ見るべき範囲(下位の項目に追加で)
1 消費者向けサービスの利用利用ルールの策定と教育(§11)、シャドーAIの可視化(§7.2)、規約上のデータの扱い(学習利用・保持期間)の確認。機密を扱う業務利用が見えたら禁止で終わらせずスコープ2(法人契約)へ誘導
2 法人向けSaaSの契約+サービス評価チェックリスト(本節(3))、SSO/MFA配下への統合と退職時停止(§4)、テナント設定(学習オプトアウト・外部共有設定)、社内データ接続型は導入前のアクセス権棚卸し(本節(2))、監査ログのSIEM連携(§12.1)
3 API経由でアプリ構築+アプリ側の安全設計: 入出力のガードレール、プロンプトインジェクション対策と権限最小化(§9.5)、APIキー等の非人間ID管理(§4.3)、レート制限・コスト監視
4 追加学習(FT/RAG)+学習・参照データの統制: データの選定と機微情報の除去、RAGの検索時アクセス制御(§9.5)、ベクトルDB・学習データストア自体の保護(§8.3)
5 モデルの自作+学習パイプラインの保護(§9.3のCI/CD統制に相当)、モデル窃取・データポイズニング対策、公開前のモデル評価(レッドチーミング)

looks_two導入前②: 前提となる社内整備 — AI導入の「前」にやるべきこと

生成AI固有の対策以前に、既存の基礎統制が整っていないとAI導入がそれを増幅する点が最重要です。

  • 情報分類の整備(§8.1)が最優先 — 「入力してよい情報」のルールは、情報が分類されていなければ運用できない。AI導入はデータ統制の前提整備を先に要求する
handyman
現実解: 「全社の情報分類が完成するまでAI導入できない」は現実的でない
全文書の分類・ラベリングは大企業でも数年がかりであり、これを前提条件にするとAI導入が止まるか、統制を無視したシャドーAIが先行します。実務ではツールによる自動検知をベースラインにするアプローチが有効です:

(a) PII(個人情報)やクレジットカード番号・APIキーといった機微情報のパターンは、DLP・機密データ検出ツール(Amazon Macie、Microsoft Purview、CrowdStrike Falcon Data Protection等 — §8.3)が事前定義済みの検出ルールである程度自動検知できるため、まずツールの標準検知でPII・クレデンシャル類の入力を機械的にブロックする
(b) 人手の分類は「事業上の機密」(技術情報・M&A情報等、ツールが文脈を判断できないもの)に絞って段階的に進める

セキュリティ専任チームがない中堅・中小企業では、この「ツールの標準機能に頼る」構成がむしろ基本形になります。法人向けAIサービスやSaaS側に組み込まれたDLP・監査機能(M365のPurview連携等)を有効化するだけでも、何もしないより大幅にリスクは下がります。完璧な分類体系を待つより、企業体力に応じて「今あるツールで検知できる範囲から統制を始め、運用しながら精度を上げる」方が実効性が高いのです。
  • アクセス権の棚卸し(§4) — 特に社内データに接続するAI(M365 Copilot型)では、「過剰共有の表面化」が頻出事故パターン: 全社リンク共有等で雑に共有されていたファイルは、従来「誰も探さないから見えなかった」だけであり、AIが横断検索して答えてしまう。導入前に共有設定・アクセス権の棚卸しを済ませることが先行条件
  • ID基盤との統合(§4.2) — AIサービスもSSO・MFA配下に置き、退職時に確実に停止されるようにする
  • ログ・監視への組み込み(§12.1) — 誰が何を入力したかの監査証跡を取得できる構成にしておく

looks_3導入前③: AIサービスの評価チェックリスト

クラウドサービス採用基準(§7.3)・委託先評価(§13.1)の共通項目に加え、AI固有の確認項目があります。

  • 入力データがモデルの学習に使われないことの契約的保証(オプトアウトの明記。管理画面設定だけでなく契約条件として)
  • データの保存場所(リージョン)・保持期間・削除可否、テナント分離の方式
  • 出力の権利帰属、著作権侵害を巡る紛争時の補償(indemnification)の有無
  • 監査ログをAPI・管理画面から取得できるか(§12.1のSIEMに取り込めるか)
  • 認証取得状況 — SOC 2 / ISO 27001 に加え、ISO/IEC 42001(AIマネジメントシステム)というAI固有の認証も判断材料になりつつある
  • サブプロセッサ(AI事業者がさらに利用する外部モデル・基盤)の開示

looks_4導入時: AIガバナンスの整備(§2との接続)

  • AI利用ポリシーの策定 — §2.1のポリシー体系に組み込む(独立文書でも既存規程の改定でも可)
  • リスクオーナーの明確化 — AI委員会またはセキュリティ委員会(§2.2)の所管に追加
  • ユースケース単位の申請・承認プロセス — 全面禁止でも全面解禁でもなく、「用途 × 扱うデータの分類(§8.1)」の組み合わせで許可を出すのが実務的。禁止一辺倒はシャドーAIを生むだけで統制効果がない
  • 参照フレームワーク — NIST AI RMF、ISO/IEC 42001。海外展開時はEU AI Act等の規制対応(§2.4)

looks_5運用: 利用時の継続的な統制

  • 業務での生成AI利用ルールの周知(入力してよい情報の分類の明確化)と、AI利用リテラシー教育(§11.1)
  • 機密情報・個人情報の入力禁止 or 学習に使われない法人向けサービスの利用(スコープ1 → 2への誘導)
  • 出力の正確性(ハルシネーション前提の利用)・著作権リスクの確認プロセス
  • 未許可AIサービス利用(シャドーAI)の可視化と統制 — CASB/SSPM(§7.2)によるSaaS可視化の一部として運用
  • エージェント型ツールへの権限付与の統制 — 業務ユーザーがAIエージェントにメール送信・ファイル操作・社内データ接続の権限を与える場面が増えている。付与できる権限の範囲をあらかじめ定め、重要操作には人間の承認を挟む(開発者向けの同種の統制は§9.3、仕組み側の設計原則は§9.5)
  • 定期的な利用状況・ログのレビュー(§12.1)
lightbulb
生成AI導入の論点は、ほぼすべて「基礎領域」に帰着する
入力可否の判断は§8.1情報分類、過剰共有は§4 IAM、サービス評価は§7.3・§13、シャドーAI検知は§7.2 CASB/SSPM、ログ監視は§12.1、教育は§11——生成AI固有に見える論点の多くは、既存のセキュリティ領域の応用問題です。だからこそ基礎統制の整備が先行条件になります。
生成AI導入で出てくる論点対応する基礎領域
入力してよい情報の判断§8.1 情報分類
社内データ接続時の過剰共有§4 IAM、§8.3 アクセスログ
AIサービスのID・認証§4.2 SSO/MFA
サービス評価・契約§7.3 クラウド採用基準、§13 サードパーティ管理
シャドーAIの検知§7.2 CASB/SSPM
利用ログの監視§12.1 SOC/SIEM
従業員教育§11 人的セキュリティ
開発者のAI利用§9.3
AI組み込みシステムの提供§9.5
AIを使った攻撃への備え§1.3、§11.2
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • Amazon Macie(機密データ検出)
  • AWS KMS / CloudHSM(鍵管理)
  • AWS Certificate Manager
  • AWS Backup(Vault Lockによるイミュータブル化)
  • S3 Object Lock
handshakeパートナーサービスの例
  • Microsoft Purview(分類・ラベル・DLP)
  • Forcepoint / Symantec DLP
  • CrowdStrike Falcon Data Protection(EDRと同一エージェント。生成AI宛て持ち出しも検知)
  • Varonis
  • Rubrik / Veeam(バックアップ)
💡 端末・ブラウザから外部AIサービスへの持ち出し防止(エンドポイント/ネットワークDLP)はAWSの守備範囲外でパートナー領域。AWSはS3等クラウド内データの発見・保護が中心。
apartment

物理セキュリティ

§10 — サイバーと物理は一体

サイバー対策と物理対策は一体で考えます。どれだけネットワークを固めても、サーバー室に誰でも入れたり、機密書類が机に放置されていれば意味がありません。

lightbulb
クラウド利用時の物理セキュリティ
AWS等のクラウドを利用する場合、データセンターの物理保護は事業者側の責任範囲です(§7.1の責任共有モデル)。利用者はAWS Artifact等で第三者監査レポートを確認することで、物理層の統制を「確認する」立場になります。自社オフィスの物理対策は引き続き自社責任です。
monitoring

セキュリティ運用(Detect / Respond / Recover)

§12 — 導入して終わりではなく、回し続ける

対策を導入して終わりではなく、継続的に監視し、事故発生時に迅速に対応する体制が不可欠です。§1で述べた「侵入される前提」を実行に移すのがこの領域です。

12.1 監視・検知(SOC)

lightbulb
なぜログを「集める」のか
攻撃は単体のログでは正常に見えます。「深夜にVPN接続 → 普段触らないサーバーへアクセス → 大量ダウンロード」のように複数システムのログを突き合わせて初めて異常とわかるため、ログを一箇所に集めて相関分析する仕組み(SIEM)が必要になります。

12.2 脆弱性管理

  1. 資産の把握
  2. 脆弱性スキャン(定期)
  3. リスク評価(CVSSだけでなく悪用可能性・資産の重要度で優先順位付け)
  4. パッチ適用 / 緩和策
  5. 適用状況の追跡

12.3 インシデント対応(CSIRT

フェーズ内容
準備CSIRT体制の整備、対応手順書、連絡網、外部専門家との事前契約
検知・分析事象の確認、影響範囲の特定(トリアージ)
封じ込め感染端末の隔離、アカウント停止、通信遮断
根絶・復旧原因除去、クリーンな状態からの復旧、再発防止
事後対応報告(経営層・監督官庁・警察・顧客)、振り返り(教訓の反映)
report
法的義務に注意
個人情報漏えい時は個人情報保護委員会への報告・本人通知が法的義務です(速報3〜5日以内、確報30日以内が目安)。「起きてから調べる」では間に合わないため、連絡網・手順書・外部専門家との事前契約を平時に整え、定期的な机上演習・実践演習で実効性を検証します。
restart_alt12.4 事業継続(BCP / DR)— 最悪の事態から事業を戻すexpand_more
  • BIA(ビジネス影響度分析): 止められない業務の特定
  • RTO(目標復旧時間)/ RPO(目標復旧時点)の設定
  • ランサムウェアを想定した復旧演習(バックアップからの実際のリストア試験)
  • 代替手段の準備(システム停止時の手作業運用等)

ポイント: バックアップは「取っている」だけでは不十分で、「実際に戻せるか」をリストア試験で確認して初めて対策になります。

handyman
中堅・中小企業の現実解
24時間365日の自社SOC・専任CSIRTは現実的でないため、監視は外部(MDR/MSS)に委ね、自社は「受け取ったアラートへの対処」と「意思決定」に集中する分担が基本形。SIEMを自前で建てる前に、EDR/クラウドの管理コンソールのアラート通知を確実に受け取る体制(メール/チャット連携+当番の明確化)を先に作る。インシデント対応は、(1) IPA・警察・所轄官庁の相談窓口と、サイバー保険付帯のインシデント対応サービスを事前に控えておく、(2) 「誰が経営層へ・顧客へ・当局へ連絡するか」の1枚の連絡フロー図を作る、の2点だけでも初動が大きく変わる。BCPはまず「ランサムウェアでファイルサーバーが全滅した想定で、バックアップから戻せるか」の年1回のリストア試験から。
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • AWS Security Hub
  • Amazon Security Lake(ログ集約基盤)
  • Amazon Detective(調査)
  • AWS CloudTrail(監査証跡)
  • AWS Security Incident Response(インシデント対応支援)
handshakeパートナーサービスの例
  • Splunk
  • Microsoft Sentinel
  • Datadog
  • Palo Alto Cortex XSOAR
  • Tenable / Qualys / Rapid7(脆弱性管理・ASM)
  • Recorded Future(脅威インテリジェンス)
hub

サードパーティ/サプライチェーン管理

§13 — 守る範囲は自社の外まで

自社が強固でも、取引先・委託先・利用サービス経由で侵害される事案が急増しています。自社に施した統制を、つながっている相手にも求めるのがこの領域です。

warning
なぜ「自社だけ」では守れないのか
攻撃者にとって、防御の固い大企業を直接狙うより、その企業とネットワークやデータをやり取りしている中小の委託先を踏み台にする方が簡単だからです。国内でも、委託先経由の情報漏えいや、取引先を経由したランサムウェア被害で工場が停止した事案が相次いでいます。

13.1 主な対策

対策内容
委託先の評価契約前のセキュリティチェック(チェックシート、認証取得状況の確認)
契約への織り込みセキュリティ要件、監査権、インシデント時の報告義務、再委託の制限
継続的なモニタリング定期的な再評価、外部評価サービスの活用
アクセスの統制委託先に付与するアカウント・権限の最小化と棚卸し
ソフトウェアサプライチェーン利用製品・OSSの脆弱性情報の追跡(SBOM)、アップデートの検証
AIサービス・AI事業者生成AIサービスも委託先評価の対象。AI固有の確認項目(学習利用、権利帰属、サブプロセッサ等)は §8.5 (3)、組み込むモデル・プロンプトの信頼性は §9.5 を参照
グループ会社・海外拠点本社と同水準の統制の展開(買収先のデューデリジェンス含む)
handyman
中堅・中小企業の現実解
独自のチェックシートを設計・運用する体力がない場合、IPA「情報セキュリティ対策ベンチマーク」や業界団体の共通チェックシートをそのまま使う。委託先評価は全取引先ではなく、「重要データを渡す先・自社システムに接続する先」に絞って実施する(リスクベース)。また中小企業は「評価する側」であると同時に「大手から評価される側」でもある——取引先からのチェックシート要求に備え、SECURITY ACTION宣言や本資料ステップ1の対策実施状況を平時から整理しておくと、営業面でも有利に働く。
star_half13.2 サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(★制度)— 経産省・2026年expand_more

経済産業省・国家サイバー統括室が2026年3月(令和8年3月)に「制度構築方針」を公表した、日本のサプライチェーンセキュリティ対策を標準化する新しい国主導の評価・認証制度です。運用主体(スキームオーナー)はIPA(情報処理推進機構)が担い、令和8年度以降に具体化・運用開始が進む見込みです。

quiz
なぜ作られたか — 「バラバラなチェックシート地獄」の解消
委託元は委託先の対策が可視化しづらくチェックシートの適正性も担保しにくい。委託先は複数の委託元から各社バラバラの要求を課され過度な負担になっている(特に中小企業)。→ これを共通のものさし(★の段階)に統一し、サプライチェーン全体の水準を底上げするのが狙い。事業者を格付け・順位付けするものではなく、あくまで対策状況の可視化が目的。

stars制度の骨格 — ★の段階(★3・★4、★5は今後具体化)

対策水準を段階(★)で表し、上位は下位を包含する(★3を経ずに★4取得も可能)。

★3★4★5(検討中)
想定する脅威一般的なサイバー攻撃供給停止・情報漏えい等で大きな影響を与える攻撃未知の攻撃を含む高度な攻撃
考え方最低限実装すべき基礎的な組織的対策・システム防御標準的に目指すべき包括的対策(被害拡大防止、サプライチェーン強靱化)国際規格に基づくマネジメント+ベストプラクティス
達成水準初期侵入防止、社内外への報告手順の整備取引先を含む被害拡大低減、重要な取引先の対策状況の把握リスクマネジメント確立、サイバーレジリエンス確保
要求事項数26件43件今後検討
評価スキーム専門家確認付き自己評価第三者評価(実地審査+脆弱性検査)第三者評価(想定)
有効期間1年3年未定
参考ベンチマークSECURITY ACTION、自工会Lv1、英国Cyber Essentials自工会Lv2〜3、分野別ガイドラインISO/IEC 27001、自工会Lv3

account_tree要求事項の構成(NIST CSFに準拠)

要求事項は NIST CSFの6機能(統治・識別・防御・検知・対応・復旧)に「取引先管理」を加えた7分類で整理されており、本資料§2〜§12の各領域とそのまま対応します。本資料の内容を実践していれば、★制度の要求事項の大半は自然に満たせる関係です。

  • 特徴的なのは★4の「重要な取引先のセキュリティ対策状況の把握」で、これにより再委託先にも一定の対策が波及する設計(§13.1の「再委託の管理」を制度化したもの)
  • ★4の技術検証では、インターネット公開機器(VPN装置・ルータ等)への脆弱性検査が課される(§12.2・§5.3のASM/公開資産管理と直結)

insights実務へのインパクト

  • 発注側: 独自チェックシートの代わりに「取引先に★3/★4を求める」形に置き換えられ、評価コストが下がる
  • 受注側(特に中小企業): 取引先ごとに異なる要求から解放され、★を1回取得すれば複数の取引先に示せる。SECURITY ACTION(自己宣言)が★3・★4取得の準備段階に位置づけられている
  • 既存制度(SECURITY ACTION、自工会・部工会ガイドライン、ISMS、英国Cyber Essentials)と相互補完・連携する方向で設計
handyman
中堅・中小企業への含意
この制度は「大手から個別チェックシートを何枚も送りつけられる」状況を国が制度で解消しようとするもので、リソースの限られる中小企業ほど恩恵が大きい。今後、取引条件として★の取得が求められる場面が増えると見られるため、まずSECURITY ACTIONの自己宣言と本資料ステップ1の基礎対策から着手し、★3を当面の目標に据えるのが現実的なロードマップになる。
apps関連ソリューション(AWS / パートナー)
cloud_doneAWSサービス
  • AWS Artifact(AWS自体の認証・監査レポートを委託先評価に利用)
  • Amazon Inspector(SBOM出力・OSS脆弱性の追跡)
handshakeパートナーサービスの例
  • OneTrust(サードパーティリスク管理)
  • 外部セキュリティ評価サービス(スコアリング型)
  • Snyk等のSCAツール
stairs

成熟度に応じた優先順位 — 何から始めるか

§14 — すべてを一度に整備することは不可能

ここまでの領域をすべて一度に整備することは不可能です。一般的な優先順位の目安を3ステップで示します。ステップ1は規模を問わずすべての企業がすぐやるべき最低限です。

1基礎固め(すぐやるべき最低限)

  • 情報資産・IT資産の棚卸し(守る対象の把握)
  • 全アカウントへのMFA導入(特に管理者・VPN・メール)
  • パッチ適用の徹底(特に外部公開システム・VPN機器)
  • バックアップの整備とリストア試験
  • EPP/EDRの導入
  • 基本ルールの策定と全社教育
  • インシデント時の連絡体制(誰に・どう報告するか)

2体制化・可視化

  • セキュリティポリシー体系の整備、責任者(CISO相当)の任命
  • ログの集約と監視(SIEM / 外部SOC)
  • 脆弱性管理プロセスの定常運用
  • クラウド設定の継続的チェック(CSPM)
  • 標的型メール訓練、CSIRTの立ち上げ
  • 委託先管理プロセスの整備
  • 生成AI利用の統制(利用ポリシー、承認プロセス、シャドーAIの可視化 — §8.5。社内データ接続型AIの導入前にはアクセス権棚卸しを先行させる)

3高度化

  • ゼロトラストアーキテクチャへの移行
  • DevSecOpsの組み込み、ペネトレーションテスト
  • 脅威インテリジェンス活用、脅威ハンティング
  • BCP演習の定期実施、サイバー保険の検討
  • ISMS等の第三者認証取得(対外的信頼が必要な場合)
  • 暗号アジリティの確保(PQC移行計画)
enhanced_encryption「暗号アジリティ」とは? — 量子計算機時代への備えexpand_more

自社で使用中の暗号方式のインベントリ整備と、ポスト量子暗号(PQC)への移行計画のことです。「今暗号化通信を収集しておき、量子計算機の実用化後に解読する(Harvest Now, Decrypt Later)」という攻撃を踏まえ、長期間秘匿が必要なデータを扱う場合(金融・防衛・医療等)は特に優先度が高い取り組みです。

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まとめ — 6つの原則

§15
  1. セキュリティは経営課題 — 技術部門任せにせず、経営層がリスクオーナーとして関与する
  2. 守る対象の把握が出発点 — 資産と情報の棚卸しなくして適切な対策はない
  3. 侵入される前提で設計する — 予防だけでなく、検知・対応・復旧までのサイクルを整備する
  4. 人・プロセス・技術の三位一体 — ツール導入だけでは機能しない
  5. 範囲は自社の外まで — クラウド、委託先、サプライチェーンを含めて統制する
  6. 継続的な改善 — 脅威も事業も変化する。定期的な見直し(PDCA)を組み込む
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付録: 領域と代表的ソリューションの対応表

AWS/パートナーサービスマッピング

各領域の代表的なソリューション分類と、対応するAWSサービス/パートナーサービスの一覧です(各章末の「関連ソリューション」の総覧)。

領域ソリューション分類AWSサービスパートナーサービスの例
ID・アクセス管理IdP/SSO、MFA、IGA、PAMAWS IAM、IAM Identity Center、Amazon Cognito、AWS Directory Service、Amazon Verified PermissionsOkta、Microsoft Entra ID、CyberArk、SailPoint、HENNGE One
ネットワークFW/UTM、IPS/IDS、SWG、ZTNA、NDRAWS Network Firewall、AWS WAF、AWS Shield、AWS Verified Access、AWS Client VPN、Route 53 Resolver DNS Firewall、AWS Firewall ManagerPalo Alto Networks、Fortinet、Zscaler、Netskope、Cloudflare、ExtraHop / Darktrace
エンドポイントEPP、EDR、MDM、パッチ管理、資産管理AWS Systems Manager、Amazon GuardDuty Runtime Monitoring、Amazon WorkSpaces ※端末のEPP/EDR/MDMはパートナー領域CrowdStrike、SentinelOne、Microsoft Defender for Endpoint、Trend Micro、Jamf / Intune、Tanium
クラウドCSPM、CWPP、CASB、SSPM、CNAPPAWS Security Hub、Amazon GuardDuty、Amazon Inspector、AWS Config、AWS Control Tower / OrganizationsWiz、Orca Security、Prisma Cloud、Netskope / Defender for Cloud Apps
データDLP、IRM、暗号化・鍵管理、バックアップAmazon Macie、AWS KMS / CloudHSM、AWS Certificate Manager、AWS Backup(Vault Lock)、S3 Object LockMicrosoft Purview、Forcepoint / Symantec DLP、CrowdStrike Falcon Data Protection、Varonis、Rubrik / Veeam
アプリ・開発SAST/DAST/SCA、WAF、シークレット管理、脅威モデリング、ペネトレーションテストAWS Security Agent、Amazon Inspector、AWS Secrets Manager、AWS WAF、Amazon Q DeveloperSnyk、Checkmarx、Veracode、GitHub Advanced Security、HackerOne
運用・監視SIEM、SOAR、XDR、ASM、脅威インテリジェンスAWS Security Hub、Amazon Security Lake、Amazon Detective、AWS CloudTrail、AWS Security Incident ResponseSplunk、Microsoft Sentinel、Datadog、Cortex XSOAR、Tenable / Qualys / Rapid7、Recorded Future
GRCリスク管理、セキュリティ教育AWS Audit Manager、AWS Artifact、AWS Config 適合パックServiceNow GRC、Archer、OneTrust、KnowBe4 / Proofpoint
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注記
注1: AWSサービスは主に「AWS上のワークロード」を守る位置づけであり、ユーザー端末(EPP/EDR/MDM)や全社ID基盤などはパートナーサービスとの組み合わせが一般的です。
注2: AWS Security Agent は2025年発表のAIエージェント型サービスで、設計段階のセキュリティレビュー、STRIDE脅威モデリング、コードレビュー、OWASP Top 10やビジネスロジック欠陥を対象としたオンデマンドペネトレーションテストまでを開発ライフサイクル全体で自動化します。IDE・CI/CDパイプラインへの組み込みが可能で、§9のDevSecOps(シフトレフト)を実現する中核サービスです。
balanceAWSサービス/パートナーサービスの使い分けの検討ポイントexpand_more

どちらか一方に寄せるのではなく、以下の観点で領域ごとに判断するのが現実的です。

検討観点AWSネイティブが向くケースパートナーサービスが向くケース
守る対象の範囲保護対象がAWS上のワークロード中心マルチクラウド(Azure/GCP)、オンプレ、ユーザー端末まで一元的に見たい
カバレッジクラウド基盤の統制(CSPM、ログ、鍵管理、監査証跡)はネイティブが最も深く・確実エンドポイント(EPP/EDR/MDM)、全社ID基盤、メール対策、教育などAWSが提供しない領域
統合・運用負荷AWSサービス間の連携が自動で、追加エージェントや連携構築が不要。スモールスタートしやすい既存のSOC/SIEM運用やベンダー製品群に組み込みたい、単一コンソールで横断管理したい
コスト構造従量課金。使った分だけで初期投資が小さいサブスクリプション。大規模・定常利用では予算が読みやすいことも
スキル・体制AWSに習熟した内製チームがいる製品ベンダーやMSSPの24/365サポート・マネージドサービスに運用を委ねたい
要件の深さ標準的な要件(まず有効化すべきベースライン)特定領域で高度な要件(例: EDRの検知精度、DLPの日本語対応、業界特化機能)

実務上の推奨アプローチ:

  1. AWSネイティブをベースラインとして全アカウントで有効化(GuardDuty、Security Hub、CloudTrail、Config等)— クラウド基盤の可視性はネイティブでしか得られないものが多く、ここを省略してパートナー製品だけに頼るのはアンチパターン
  2. AWSが守備範囲としない領域はパートナーで充足(端末、全社ID、メール、教育)
  3. 重複領域(CSPM/CNAPP、SIEM等)は「運用する人」を基準に選ぶ — マルチクラウドの横断可視化や既存SOCとの統合が必要ならパートナー、AWS中心ならネイティブ集約でコストと運用をシンプルに
  4. パートナー製品を選ぶ場合も、データソースはAWSネイティブ(CloudTrail、GuardDuty等)から取り込む構成が基本であり、両者は競合ではなく積み重ねの関係